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研究の成果を歯科医療現場へ:歯科材料の開発と製品化【 口腔保存治療学分野 北村 知昭 教授,鷲尾 絢子 准教授 】


04kitamura2.jpg04washio.jpg研究の成果を歯科医療現場へ : 歯科材料の開発と製品化
口腔保存治療学分野
北村 知昭 教授,鷲尾 絢子 准教授



研究内容
 私達の専門である歯科保存治療は,むし歯や根尖歯周組織の治療を指し,近年ではその高い専門性から「歯科保存専門医」も誕生しています.
 私達は「目の前の治療に用いる技術?材料の研究」から「近未来の実現を目指す再生医療研究」まで行なっていますが,ここではトランスレーショナルリサーチ,すなわち,私達が研究?開発に携わり既に歯科医療現場で活用されている製品の研究を紹介します.
 身体の内部と繋がる歯のシンケイ(歯髄)や根尖歯周組織を対象とする治療で用いる材料には高い生体親和性が求められます.バイオセラミックスは生体親和性が高い材料で細胞に悪影響を及ぼさないことから世界中で使用が広がっています.2017年,私達は下関にある歯科企業と共に歯髄や根尖歯周組織と触れても問題のないバイオセラミックス系材料を開発?製品化しました.臨床使用5年以上の調査でも良好な経過を示しています.国内では多くの歯科医師が使用(20%以上のシェア)しており,東南アジア諸国の歯科医師も使用しています.
 本研究成果は,2019年11月29日に「materials」,2022年9月27日に「Operative Dentistry, Endodontics, and Periodontology」,2023年12月18日に「Journal of Functional Biomaterials」,その他多くの歯科商業雑誌に掲載されました.

用語説明
?根尖歯周組織:歯の根の先周囲に存在する軟組織(歯根膜など)と硬組織(骨)の総称.
?歯科保存専門医:日本歯科専門医機構が認定する歯科専門医のひとつ.
?トランスレーショナルリサーチ:基礎研究から製品開発,臨床研究までを一体として扱う研究.
?生体親和性:生体に悪影響を及ぼさず長期間にわたり機能を維持できる材料の性質.

研究者からのコメント
 臨床を通して,歯科医師ひとりが救える患者数には限りがあります.しかし,疑問に思ったことやこういう器材があると良いなと思ったことに対して,自ら基礎研究を行うことができれば,その研究結果の公表や器材開発を行うことで多くの患者を救うことができ,未来の歯科医学の発展にも貢献できます.臨床で患者を診察しながら研究も行う二刀流歯科医師を目指して,私達と一緒に高度な臨床技術と研究マインドを築きましょう!

論文?研究者情報
PubMed : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31795433/
              https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38132822/
J-stage :  https://www.jstage.jst.go.jp/article/odep/2/1/2_2022-003/_article/-char/ja
researchmap : https://researchmap.jp/read0187395
                      https://researchmap.jp/ayawashi


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